国東のしいたけ(大)

シンプルな調理方法でこそ違いが引き立つ、香り、歯応えが違う旨味の強い原木栽培しいたけ

「世界農業遺産」に登録された国東の豊かな森の中で原木栽培したしいたけを丁寧に干し、干しいたけに仕立てました。だしはもちろん、シンプルなおひたしや含め煮などで豊かな香りと肉厚の食感をお楽しみください。

商品情報

●容量:65g
●原材料:原木しいたけ(大分県国東市産)
●サイズ:大

ご注意ください

●サイズ「小」につきましては、<関連した商品>からお買い求めください。
価格 ¥810(税込)

Our Stroty ものづくりの裏側をたずねて

大分は、干ししいたけの生産量が国内の約40 %を占めるという、しいたけの一大生産地。特に国東半島宇佐地域の「クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環」はFAO(国連食糧農業機関)の世界農業遺産に認定されており、クヌギを利用した原木しいたけ栽培が盛んだ。

原木しいたけ栽培はクヌギなどの原木に穴を開けて種菌を植えつけ、森の中で栽培する方法のことをいう。天然ものに近い環境で栽培する原木栽培は、粉砕した樹木に米ぬかやふすまと水を加えて成形したものに菌を植え付けてハウス内で栽培する菌床栽培に比べ、旨味、香り、食感が段違いに優れているといわれる。一方で、山間部の栽培は収穫量やできが天候に大きく左右されるうえ、大変な重労働。生産者の高齢化も年々進んでいるそうだ。



この原木栽培の第一人者が「そのだ農園」の園田豊稔さん。しいたけ農家の3代目だ。直射日光の当たらない雑木林の中のホダ場に植菌したホダ木を並べ、2年かけてしいたけを発生させるという伝統的な原木しいたけ栽培で、主に低温性(冬に自然発生しやすい品種)を生産している。毎年開催される「干椎茸品評会」での受賞回数も多数というベテランだ。
「うちは4種類作っているんやけど、気温の低い冬場にじわーっと育つ低温性は、肉質が柔らかいのにきゅっと身が締まっていておいしいんよ。特にこの『春太』は、食感も香りも格別。自分が食べておいしいけん、一生懸命作るんだわ。中低温性は、香りはいいんだけど食感は低温性にかなわないわな」



雨が降ったり気温が低くなりすぎたり、そんな時はしいたけの一つ一つに小さなビニールの覆いをかける。手間はかかるが、かけた分だけいいものが作れる。園田さんの持論だ。「うちでは農業体験の中学生も受け入れているんですが、しいたけが苦手だという子も『おいしい、おいしい』って食べるようになりますね」と妻の和子さん。

しいたけ農家の仕事は、原木の調達から始まる。木々が紅葉し始める頃、原木の伐採を行う。クヌギの根本付近から切り倒し、葉がついた状態でしばらく放置する。乾燥が不十分だとしいたけ菌糸が育たないので、だんだんと水分が抜けて(「葉がらし」という)植菌に適した状態になるまで待つ。電気ドリルで穴を開け、そこに種菌を植え付ける(「駒打ち」という)。原木を井形に組んで覆いをし、約2年間寝かせてようやくホダ木が完成する。10月ごろ、ホダ木(原木)を山からホダ場に移すと2、3ヶ月でしいたけが発生し始める。



収穫の最盛期は3月ごろ。この時期は家族3人、早朝から夜10時ごろまで休む間も無く収穫する。収穫したしいたけはすぐに自宅にある工房に運び、乾燥機に入れる。6台ある乾燥機はフル稼働。乾燥したしいたけを出し入れしたり乾燥機の具合を調節したり、夜中でも作業を行う必要があるから、園田さんは工房で寝泊りするのだとか。



さて、園田さんが育てているのはしいたけだけではない。「そのだ農園」が管理するのは国東半島の真ん中に位置する、およそ16ヘクタールのクヌギ林。これを年に1ヘクタールずつ伐採してホダ木にし、しいたけを栽培している。1ヘクタールずつ伐採するのには理由があって、伐採したクヌギの切株からたくさんの芽が出て、これが16年かけて元のサイズに成長するから。環境に負担をかけないサイクルでしいたけ栽培を行いながら、伐採による森の若返りも図っている園田さんは、つまルところ国東が世界に誇るクヌギ林をも育んでいるのである。